東京都奥多摩にある御嶽山。標高929mの霊山。
ここで、人生初の滝行に挑む。
家族5人を家に残し、1人の修行者として参った。
滝行とは何か?滝行で得られる物は?
そのエピソードをここに綴る。
御嶽山に霧がたちこめる、朝4時30分。
宿坊の朝は早い。
携帯のアラームが鳴り、慌てて止めると同時に、しっかりと体が起き上がる。
そう、『今朝は滝行だ!』という強い想いがあり、すぐに支度にとりかかった。
昨晩、全て準備済みの服に着替える。
一番下に水着を着て、白いラッシュを着る。
腰にはギックリ腰用のベルトをつけ、その内側にホッカイロを3つ貼る。
タイミング悪く、3日前に軽いギックリ腰をしてしまったのだ。
滝行中にギックリ腰が再発したら笑えない…。
リスクを承知で、修行に挑む所存である。
そして、一番上に貸していただいた白衣を着る。
最後に、頭に白いハチマキを巻き、今日のコーデ完成〜♪
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白を基調とした、気合いの入るコーデ。
日常生活では、誰もマネしないコーデだろ…と、鏡に映る自分にツッコむ。
朝5時。集合場所の御神前に行く。
ゾロゾロと白装束の方々が集まっていた。
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神主さんから滝行の説明を受ける。
宿を出てから、宿に帰ってくるまで、約束が2つ。
①喋ってはいけない。
②後ろを振り向いてはいけない。
この2つの約束が、どのような意味を持つのか説明された。
修行中は、己に集中すべきであり、私語はなし。
後ろを振り返るとは、人生と同じで、振り返ってはならない。
前を向いて一歩一歩、歩んでいくことが大切だ、との事。
この2つの約束を胸に、宿坊を出発する。
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御嶽神社の入り口。
皆、無言で足を進める。
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今回の修行メンバーは12名。
1人参加女性2名、1人参加男性1名、外国人1名、外国人の通訳1名。
夫婦4名(うち外国人1名)、家族3名(うち小学6年1名)。
12名のメンバーに、神主さんを入れて13名。
男性は、私服で滝まで行き、そこでフンドシに生着替え。
女性は、白装束の衣装で滝まで行く。
滝行ツアー、最初の見どころ「邪鬼」。
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御嶽神社に登る階段に、この邪鬼が数体隠れている。
普通に階段を一歩一歩登っていても、邪鬼階段だけは、両足で踏みつけて、それから登る慣わし。
ちなみに、邪鬼キャラは、それぞれデザインが違うので「推し邪鬼」を見つけてみて。
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さて、目指すは「綾広の滝」での滝行。
途中、見どころ2つ目の「天狗の腰掛け杉」が現れた。
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霧が立ち込める中に、自然の威厳さを感じさせる杉。
その杉の横にある鳥居は、日本武尊を祀る奥の院に繋がる。
鳥居に一礼し、先を進む。
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↑ 見どころ3つめ。
この場所からの湧水の量で、滝の水量が分かるという。
神主さんいわく、そんなに水量はないだろう、との事。
その言葉に安堵する。
(ちなみに、神主さんは説明のため喋る。そして移動はバイク使用…w。←足を悪くしたため)
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↑見どころ4つめ。
この場で口をすすぎ清める。湧水を飲む事も可。
片道50分程の山登り。喋ることもせず、ひたすら前に進む。
長い道のりだが、苦にならない。
なぜならば、早朝の森林を歩くのは、とても神秘的だ。
鳥のさえずりや川のせせらぎ、山の息吹が、心地良いBGMとなる。
霧の湿った空気感を、肌で感じる。
土や木、葉っぱの湿った匂いがする。
マイナスイオンに囲まれた森林の中で、清らかな呼吸ができる。
五感の全てが、気持ち良く山と調和した。
ふとした瞬間…、しまった…!(汗)
斜め後ろ位を振り返ってしまった…。
そう…、無意識だった。
しかし、真後ろでも無いから大丈夫なのでは?!と、自分で自分を正当化してみた。
しかし、よく考えてみた。
「無意識だから、後ろを振り向いた」のか…?!
私はこれまでの人生、過去を振り返り、後悔する事がたまにある。
あの時に、あの選択をしていれば良かった…と思うのだ。
その過去の振り返りは、今の自分に意識が無い状態(無意識)で、過去に意識を持っていかれていた事に気がついた。
地に足をつけ、『前を向いている強い自分』『JUST NOWの自分』にフォーカスすれば、自ずと過去にフォーカスする事は少なくなっていくのではないかと思う。
中心軸を、今に持ってくる事が重要なのではないか。
「後ろを振り向くな」という約束から、色々と考えさせられた。
ありがたし…。修行万歳…。
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5時30分、朝日が登ってきた。
山の静けさに、光が差し込み、足取りが軽く早くなる。
近くを流れる川の音が、徐々に大きくなってきた。
遠くに滝が見えた。
気持ちが一気に高まる。
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滝に到着した。
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【滝行後半】に続く…。