【アシュタンガヨーガの亀仙人】

アシュタンガヨーガを始める事にした。
理由は、私の筋肉がひ弱なためである。

ヨーガには流派があり、ハード系からリラックス系まで幅広くある。
私が取得したヨーガ教師資格は、リラックス系のハタヨーガである。

アシュタンガヨーガは、太陽礼拝をはじめ、ハードで運動量が多いヨーガである。
そのため、筋トレには良いのではないか…と思い始めた。
自主的に筋トレが出来なかったので、ドMな私は、アシュタンガヨーガで強制修行することにした。
以前、アシュタンガヨーガには10回程行った事があるので、なんとなくのイメージと効果は分かっている。

余談だが、一般的には『ヨガ』と呼ばれているが、インド的に言うと『ヨーガ』である。

さて、ちょうど市内に、無料で行なっている教室をネットで見つけた。
アシュタンガヨーガも珍しいが、無料で教えてるのも、なかなか珍しい。

興味深々で教室に向かうと、マンションの地下一階…。
分厚い鉄の扉を開けると、生徒たちが所狭しとヨーガマットの上にいる。
ざっと6〜7人はいる。

先頭に陣取っていらっしゃるのが先生だろう…。
メールでやり取りした名前は、米沢さんだった。

米沢先生は、坊主メガネで、40代の男性だ。
鮮やかなオレンジのTシャツを着て、バックロゴは、インドのオムマーク。
Tシャツの正面には『毎日練習』と、プリントされていた。
このオレンジの感じは、ドラゴンボールZの『孫 悟空』を連想させる。
しかし、坊主メガネの感じからすると、『亀仙人』の方が近いだろう。
リスペクトの意味を込め、『亀仙人』と呼ばしてもらおう。
(勝手に、自分の中だけで…w)

亀仙人は、私を導き、ヨーガマットを準備してくれた。
その間にも、2〜3人、続々と入室してくる。
この狭い地下教室に、どれだけ押し込むつもりなのか…、と思いながら人数を数えると、生徒10名、先生1名で11名。
もし、これが無料でなく有料であれば、いくら取れるのか?!
1人1000円だとしても、1万円にはなるではないか…。
いらぬ経営サイドの勘定をしてしまった…。

さて、いよいよアシュタンガヨーガが始まる。
亀仙人がサンスクリット語で、マントラを唱え始めた。
時間にして約1分。なかなか好みのヤツである。
一気にインド感が溢れ、場の空気が浄化された。

そこからは、ハード系の連続…。
太陽礼拝の腕立て伏せは、ひ弱は私に悲鳴を上げさせた。
筋肉がプルプルしてくる。

筋トレヨーガの合間にも、ストレッチ系や柔軟系のヨーガが登場する。
この手のヨーガは、私が得意とするものなので、難なくこなせる。

次に、バランス系の立ちポーズヨーガ。
これは、練習が必要。

途中に、難易度の高いヨーガポーズが登場する。
逆立ちのポーズ…。これに挑戦している生徒さんは6名。
バランスを崩すと、怪我をするので、ここはただ見ていて、お茶休憩してる方が賢明だ。

そして一番嫌いな、V字ポーズ。
腹筋が、ガチやばいヤツ。
5秒間耐えるポーズを5セット…、5セットも?!…(涙)
この地獄の修行、3秒で息耐える…。

60分を過ぎた辺りから、汗が滲み出てくる。
筋肉の疲労も否めない…。
そろそろ疲れがMAXな頃、やっと静寂が訪れる。
そう、クールダウンタイムだ。

電気を消し、マットに寝転がり、シャヴァアーサナのポーズでクールダウンする。
全身に巡った血の流れを感じながら、意識を体の内へ内へと向けていく。

その後、瞑想を3分間。

静と動を意識することで、意識を体の内側へ向けていく。
内側にある、静寂、魂、アートマン、神、宇宙の根源と繋がる。
そう…、繋がること。
それが、ヨーガの最終目的である。

瞑想を終え、亀仙人が終わりのマントラをサンスクリット語で唱える。
心地良い音の波動が、教室に響き渡る。
『ありがとうございました』
これで、アシュタンガヨーガ90分の修行が終わった。

亀仙人が近づいてきて『どうでした?』と感想を求める。
私は『良かったです!続けさせて下さい』とお願いした。

これで、私はアシュタンガヨーガと繋がり、亀仙人とも繋がった。
まてよ……、
亀仙人の弟子になったと言う事は、私が『悟空』役なんですね?!
はっ…!?
早速、オソロのオレンジTシャツを買わねば…。
(形から入るタイプ…w)

翌日、言うまでもなく、全身の筋肉痛に襲われ、ヒィーヒィー言うハメとなる。
しかし、悟空役としては『チャーラ♪ヘッチャラ!♫』で受け流したい。
修行は辛いが、笑顔ウルトラZで頑張るゾー!
スパーキング!!w

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