次男の髪の毛がロン毛になり、早1年以上…。
知らない人からは、女の子に間違えられる始末。
周りから『髪を切りなさい!』と言われ続けても、頑なに拒否した結果がロン毛。
『なんで伸ばしてるの?』と聞かれ続けた答えは、
次男『わからない…。なんとなく。』たっだ。
なんとなくの割には、こだわりが強く、髪を切らないの一点張り。
母親として言える事は、ひとつ。
『髪が臭くて、絡まり、ホームレスみたいだから止めてくれ!』これに尽きる。
多分ちゃんと髪を洗えてないのと、髪を乾かさないので雑菌が増え、臭いのである。
この強いこだわりを断ち切るにはどうしたら良いのだろうか…。
そんな事を思いながら過ごしていると、ある事件が起きた。
次男が自宅で、社会的ルールを破る事をしたのだ。
その罰として、youtubeで動画を見ることを1か月禁止することにした。
動画命の次男にとって、この罰は重くのしかかった。
しばらく動画無しの生活が続いたが、耐えられなくなった次男から、
『動画が見たい…。』と切実に言われた。
そう、私はこのタイミングを待っていたのである。
すかさず『あなたに、選択肢を与えてあげます。反省の意味を込め、髪を切るのであれば、禁止期間を無効にし、動画を見ても良いです。どうしますか?』
次男『う…ん…、、、髪を切る…。』
私『分かりました。明日、髪を切りに行きましょう』
そう、強いこだわりを消すには、強いこだわりをぶつけ合う…、これが良いと私は悟ったのだ。
題して『目には目を、ロン毛には動画を』作戦〜!大成功〜!
翌日、次男の友達のお祖母様が元美容師とのことで、断髪式をお願いすることにした。
お祖母様も、次男の髪が気になっていて、顔を見るたびに『髪を切ってあげようか?無料だよ』と言ってくれていた。
断髪式を快く引き受けてくださり、いよいよロン毛卒業…。
卒業となると、私がなぜだか少し寂しくなってしまった。
仕掛けておきながら…w
ブロック分けをして髪を結ぶと、更に女の子みたい。
私『髪型は、丸坊主でも良いと思っているんですが…』と言うと、
お祖母様『いきなり大きく変えてはダメよ。徐々に行きましょう。』と、おっしゃった。
そして『子供心を知らないわね♪』と、茶目っ気たっぷりに、ほくそ笑んだ。
私は、その笑みを見た瞬間、元美容師時代に培った経験からの悟りを垣間見た。
髪型は、お祖母様にお任せすることに決めた。
無事、断髪式も終わり、お祖母様にお礼を申し上げた。
次男は鏡を覗き、変貌ぶりを楽しんでいた。
次男『…誰?!w』
友達からもヤジが飛ぶ。
夕刻になり、友達の家を後にし、私と次男は自転車に乗って帰る。
自転車のスピードが出てくると、首元の寒さを強く感じる。
次男『髪の毛、夏に切ればよかったー!』そう叫ぶ。
私『夏にも、髪の毛切れ!と、言ったわー!』と、私も叫ぶ。
2人ともニンマリしながら、清々しい軽やかな気持ちがこみ上げてくる。
目の前の道端には、紅葉で散った色鮮やかな葉っぱがたくさん落ちていた。
まるで、木々も断髪式ならぬ、断葉式を行ったみたいだった。